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法律豆知識

1.株主代表訴訟

今回は、「株主代表訴訟に関する商法の改正(取締役の賠償責任軽減)」について、その概略を説明したいと思います。

大和銀行不正取引事件では、同行経営陣に対し、大阪地裁が総額約830億円の賠償を命じ話題になりましたが、経済界からの強い要望を背景に、平成13年12月5日、株主代表訴訟において、取締役等の賠償責任を軽減するための商法改正が成立しました(改正法の施行は平成14年5月)。

具体的には取締役等の賠償責任を、①代表取締役の場合はその報酬の6年分、②代表権のない社内取締役の場合はその報酬の4年分、③社外取締役と監査役の場合はその報酬の2年分まで軽減することができるようになりました。

これには、(1)株主代表訴訟が提起されたときに株主総会の特別決議で賠償額を軽減する方法(事後減額)と、(2)株主総会の特別決議によって定款を変更し、軽減の権限を取締役会に与えておいて、取締役会決議によって代表訴訟ごとに賠償額を軽減する方法(事前減額)とがあります。いずれの場合についても取締役の賠償責任を軽減する議案を株主総会または取締役会に提出するためには監査役全員の同意が必要です。

取締役等の賠償責任を減額できるのは、取締役等がその職務執行について善意で、かつ重過失がないときです(つまり、減額できるのは軽過失のときだけです)。

(2)の方法(事前減額)がとられ、取締役会が賠償額を軽減する決議をした場合には、発行済み株式総数の3%以上の株主が異議申立期間(1か月以上)内に異議を申し立てると、取締役会の決議は無効になります。

なお、当初、株主代表訴訟を提起できる株主の資格について、不祥事が起きた当時に株主だった者に限るという案もありましたが、この点についての改正は見送られました。ですから、不祥事発生後に株主となった者も株主代表訴訟を提起できます。

【注】株主代表訴訟とは、取締役が会社に対して損害賠償責任を負うにもかかわらず、会社がその責任追及を怠っている場合に、株主が会社のために取締役の責任を追及する訴えを提起できる制度です。6か月前から引き続き株式を有する株主(1株でもよい)にこの権利が認められています。原則として、まず監査役に書面で訴えの提起を請求し、30日待っても会社が訴えを提起しないときに、はじめて自ら訴えを提起できます。

2.中古ゲームソフトの頒布権

今回は、中古ゲームソフトの頒布権についての最高裁判決(最高裁平成14年4月25日判決)をご紹介したいと思います。

家庭用テレビゲーム機用ソフトの制作会社(発売元)にとって、中古ソフト販売会社はいわば天敵のようなものです。製作会社の立場からすると、中古ソフトが製作会社のコントロールが及ばない形で安い価格で消費者に流通してしまうと、新品ソフトの売れ行きが落ち、やがて新作の開発にも支障が出るということになるからです。

しかし、消費者の立場からすると、中古ソフト販売会社から中古ソフトを安い価格で購入できるということはとてもありがたいことです。

本件は、家庭用テレビゲーム機用ソフトの著作権者である制作会社(発売元)が、中古ソフト販売会社に対して、ゲームソフトの頒布の差止め(売ってはいけないということ)と廃棄を求めて提訴した事案です。

製作会社の主張の根拠は、ゲームソフトの著作者にも「頒布権」があるというものでした。

「頒布」とは販売、貸与、譲渡の総称で、これをコントロールする権利が「頒布権」です。著作権法は、映画の著作物について、著作権に含まれる権利の一つとして、著作者にこの「頒布権」を認めています。

ゲームソフトの著作者にも頒布権が認められるとなると、著作者(制作会社)の同意を得ないで中古ゲームソフトを販売することは著作者の頒布権を侵害することになります。

著作権法では映画の著作物についてのみ著作者の頒布権が規定されているため(絵画、音楽、小説などには頒布権は認められていません)、ゲームソフトは映画の著作物に当たるか、中古ゲームソフトにも頒布権が認められるか、が大問題となり、下級審裁判所の判断が分かれていました。

この問題につき、平成14年4月25日、最高裁判決が出されました。最高裁は、テレビゲーム用ソフトが映画の著作物に当たることを認め、その著作権者に「頒布権」を認めました。

しかし、公衆に提示することを目的としない家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物(ゲームソフト)の複製物の譲渡については、それを公衆に譲渡する権利は、いったん適法に譲渡されたことにより(消費者が小売店から新品のゲームソフトを購入したことを意味します)、その目的を達成したものとして消尽し、もはや著作権の効力は、それを公衆に再譲渡する行為(中古ゲームソフトの販売)には及ばない、と判断しました。つまり、結論的には、中古ゲームソフトの販売は、著作者である制作会社の同意がなくても自由にできるとしたのです。

われわれ消費者にとっては喜ばしい判決ですが、家庭用テレビゲーム機用ソフトの制作会社にとっては大ショックを与えた判決ということになりそうです。  

3.逸失利益の算定方法

幼児や児童などが交通事故などで亡くなったとき、その死亡による逸失利益をどのように計算するか、については下級審裁判所の判断が分かれています。死亡逸失利益とは、簡単に言えば、被害者が死亡した時から、死亡しなければ働けたであろう期間に得ることができたであろう収入の喪失のことです。その算式は、次のようなものです。

死亡逸失利益=
1年当たりの基礎収入×(1-生活費控除率)×稼動可能期間に対応するホフマン係数またはライプニッツ係数

現実には稼動していない幼児や児童については、18歳から67歳までの49年間働けるものとして計算します。人は死ねば生活費が不要になるため生活費控除という操作が必要となります。また、将来の収入の喪失を現在の一時金として計算するため中間利息の控除という操作も必要となります(ホフマン係数またはライプニッツ係数を乗じるというのがそれに当たります)。生活費控除率や中間利息の計算方法についても問題があるのですが、今回取り上げる問題は、1年当たりの基礎収入としてどのような数字を使うか、という問題です。

幼児や児童のような現実収入のない被害者については、厚生労働省が毎年公表している賃金センサスの平均賃金を利用することになっています。これまでの裁判例の大勢は、男女別の平均賃金を利用してきました。被害者が男児であれば男性労働者の平均賃金を使い、被害者が女児であれば女子労働者の平均賃金を使ってきたのです。

ところが、女子労働者の平均賃金が男子労働者の平均賃金を大きく下回ることから、逸失利益の男女間格差が生じているのです。例えば、平成12年度の賃金センサスでも、男子労働者の平均賃金が5,606,000円であるのに対し、女子労働者のそれは3,498,200円となっています(男子労働者の約62%)。その原因として、女子労働者の雇用形態がM字型構造となっていることが指摘されています。これは、結婚前の腰掛け的労働といわれる18歳から25歳あたりまでと、子育てが済んだ45歳から50歳あたりの部分に雇用のピークがあるということですが、二つのピークに挟まれた谷に当たる部分は、男子では働き盛りで賃金が高い部分なのに、女子では無職かパートということになります。女子の稼働能力が男子にくらべて劣るということではありません。ですから、その格差を逸失利益に反映させることには強い批判がありました。

最近の下級裁判所の中には、全労働者(男女合わせた労働者)の平均賃金(平成12年度の賃金センサスだと4,977,700円となっています)を使用するものが現れましたが、依然として男女別平均賃金を使用する裁判所も多いため、最高裁の判断が待たれていました。

そんな中で、平成14年5月、最高裁は全労働者平均賃金を使用した大阪高裁判決を是認したのですが、同年7月には、全労働者平均賃金を使用した東京高裁判決を是認する一方、女子労働者平均賃金を使用した別の東京高裁判決も是認したのです。どうやら、最高裁は、下級審裁判所の自由裁量に任せようとしているようですが、被害者の立場に立ってみると不公平感は否めず、混乱はなお続きそうです。

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北河隆之『交通事故損害賠償法』(弘文堂・2011年)は,2016年6月2日に[第2版]が刊行されていますが,同書[第2版]刊行後の交通事故重要判例や、その他の分野の重要判例を,このコーナーで紹介していく予定です。 → 最近の重要判例紹介はこちら

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