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19.同業他社へ転職する場合、何か問題になることは?

ヘッドハンティングで同業の外資系の会社から誘いを受けています。給料もいいので会社を移りたいのですが、問題はないでしょうか

 期間の定めのない雇用契約(労働契約)を労働者から解約すること(辞職)は自由であり、使用者(会社)から解約する場合(解雇)のようなさまざまな制約はありません。2週間の予告期間を置くことが必要とされているだけです(民法627条1項)。辞職の理由も必要ではありません(転職の自由)。ただ、次のような問題があります。
 
 就業規則等のなかには、一般的に、在籍中の秘密保持義務や競業避止(ひし)義務が規定されていますが、使用者としては、(業種にもよりますが)雇用契約終了後にも、労働者に対して同じ義務を課したいと考えるのは当然です。
 
 そこで、就業規則等により退職後の秘密保持義務と競業避止義務を負わせることがあります(義務違反に対しては、退職金の不支給あるいは減額を規定していることが多いようです)。退職の際に、社員に対して秘密保持あるいは競業避止の誓約書を書かせることもあります。
 競業避止契約は秘密保持義務を担保する意味がありますので、秘密保持契約とワンセットになっていることが多いようです。
 秘密保持契約は原則として、有効と解されています。しかし、会社が秘密にしたいと考える情報は、不正競争防止法2条6項(※)に規定されている「営業秘密」から、企業戦略、社内の不祥事等々さまざまであり、これらの情報のどこまでが法的保護に値するのかは難しいところです。秘密保持契約において、漏洩を禁止する情報が特定されている場合にはそれによることになりますが、特定されていない場合には、当該情報の保護の必要性から合理的範囲に限定されることになるでしょう。
 競業避止契約のほうは、もろに労働者の職業選択の自由と衝突しますので、その有効性については慎重に判断されています。
 判断要素として重要なものをあげると、
 
①制限期間(一概にはいえませんが、2、3年間が目安でしょうか)
②制限される職種の範囲
③制限される場所的範囲
④代償措置の有無
があります。
 これらの要素を、会社の利益、労働者の不利益、社会的利害(一般消費者の利害)の視点から判断していくことになります。
 なお、自分が転職することは自由ですが、背信的なやり方で(単なる勧誘というような域を超えて)部下や同僚を引き抜く行為は不法行為(民法709条)となることがあります。
※不正競争防止法2条6項:この法律において、「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

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