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11.フロントに預けたかばんがなくなってしまった

先日、出張の帰りに温泉旅館で風呂に入ろうと思い、現金50万円が入ったかばんをフロント前にいた係員に預けました。脱衣室のロッカーでは心配だったためです。ところが、預けた係員がかばんを紛失してしまいました。旅館側は、現金が入っていることを知らなかったので過失はないといいはります。そうでしょうか。納得がいきません。

 当事者の一方が相手方のために物を保管することを内容とする契約を「寄託契約」(民法657条)といいます。旅館があなたのかばんを預かる契約は、この寄託契約です。
 受寄者(旅館)は寄託物(かばん)を保管して、寄託者(あなた)に返還する義務を負います。そして、商人(旅館はこれにあたります)がその営業の範囲内において寄託を受けたときは、無償であっても「善良なる管理者の注意」を払って保管に当たらなければなりません(商法593条)。
 とくに、旅館、飲食店、浴場その他、客の来集を目的とする施設の営業主は、客から寄託を受けた物品の減失または毀損(きそん)について「不可抗力」によることを証明しない限り損害賠償責任を免れません(商法594条1項)。
 ところが、「貨幣、有価証券その他の高価品」については、客がその種類および価額を「明告」して寄託しないと、施設の営業主は寄託物の滅失または毀損による損害賠償責任を負わないという特則があります(商法595条)。
 あなたの場合も、明告していませんから、かばんはともかく、現金については旅館に損害賠償を求めることができないことになりそうですが、判例では、商法595条の規定は寄託契約の債務不履行による損害賠償責任に適用されるもので、不法行為による損害賠償責任には適用されないとしています。
 したがって、あなたは、フロント係員が通常人として払うべき注意を怠ったこと(過失)を立証できれば、旅館の営業主に対し、不法行為に基づく損害賠償責任(民法715条の使用者責任)を追及することができます。
 ただし、あなたにも明告を怠った不注意があるので、過失相殺される可能性があります 。

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