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11.代襲相続人の範囲について

 ご存じの方もおられると思いますが、民法(相続法)に「代襲相続」という制度があります。

 A(被相続人)に長男Bと長女Cがいて、Aが死亡して相続が開始すると、第一順位の相続人であるBとCが相続人となります。(事例を単純化するため、Aの両親は既になくなっており、妻にも先立たれていたとしましょう。)

 相続開始(Aの死亡)前にBが死亡していたとするとどうなるでしょうか。この場合、もしBに子D(Aの孫)がいたとすると、Bに代ってDが相続人となります。これが「代襲相続」です。CとDの二人が2分の1ずつ相続することになります。

 Dも(Aより)先に死亡していた場合、Dに子E(Aのひ孫)がいればEが相続人となります。これを「再代襲相続」といいます。

 ところで、民法(相続法)887条2項は「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。」と定めています。すなわち、被相続人の直系卑属でない者は代襲相続人とはなれないということです。「直系卑属」とは、自分よりあとの世代で、直通する系統の親族を指します。

 問題となるのは、上記設例で、BがAと血のつながる実子ではなく、Aの養子である場合です。AとBとが養子縁組をすると、Bは実子と同じ立場となります。これを法定血族といいます。

 民法727条は、「養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる」と定めていますから、Bの子であるDが、AとBとの養子縁組後に出生した子であれば、DはAの直系卑属となります。

 これに対し、Bの子であるDが、AとBとの養子縁組前に出生した子(養子縁組前の養子の子)であればどうなるでしょうか。この場合、DはBの子ではあってもAの「直系卑属」には当たらないので(Aの相続開始当時、AとDは赤の他人の関係にあります)代襲相続人となることはできません。民法887条2項のただし書きはそのことを規定しているものと解されています。

 民法882条2項の規定は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合(被相続人に子も親もいない場合には兄弟姉妹が相続人となります)について準用されています。

 最高裁は、令和6年11月12日、相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合において、兄弟姉妹が被相続人の親の養子である場合、養子縁組前の養子の子は、養子を代襲して相続人となることはできないと判断しました。

 

 

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