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暮らしの法律Q&A

13.自動車保険に未加入のバイクに引っ掛けられて骨折。健康保険を使いたいのですが・・・

自宅近くでバイクの少年に引っ掛けられ、転倒した拍子に腕を骨折し入院しました。少年は自動車保険に入っていなかったため、健康保険で治療したいと申し出たのですが、病院から断られてしまいました。こんなときは、どうしたらいいのでしょう。
 

 バイクは自動車保険に入っていなかったということですが、自賠責保険(強制保険)には入っていたという前提でお答えしましょう(ごくまれに、車検切れで、自賠責保険すら付保されていないケースもないわけではありませんが)。
 結論からいえば、交通事故であっても病院に対し健康保険証を呈示することにより、健康保険を利用することができます。
 ただし、その場合には、健康保険組合(国民健康保険の場合には市町村)に対して「第三者行為災害(傷病)届」を提出することが必要です。健康保険組合(市町村)は病院に対して支払った治療費を、自賠責保険に対して求償(回収)することになります。
 
 ところが、病院のなかには、交通事故による傷害の治療に健康保険を利用することに難色を示すところがあるのも事実です。
 なぜかというと、健康保険を利用しない自由診療報酬は、同じ内容の治療であっても、健保基準の1.5倍から2倍程度まで容認されているからです。病院としては健康保険より自由診療で治療したいわけです。もちろん、健康保険の適用がない治療というのもありますが、骨折の治療ではまず考えられません。
 
 自賠責保険には上限額(傷害で120万円)がありますから、それを超えると自賠責保険からは支払われません。バイクに任意自動車保険が付保されていれば、そこから支払われますが、その場合でも「過失相殺」が行われる可能性を考えれば、治療には健康保険を利用すべきです。
 なぜかというと、たとえば治療費100万円、休業損害100万円、慰謝料100万円、合計300万円の損害が発生し、過失相殺率30%としましょう。この場合、賠償金は210万円<=300万円×(1-0.3)>となりますが、そこから治療費が差し引かれますから、手取り額は110万円となります。ところが、同じ治療が自由診療で行われ、治療費として2倍の200万円がかかったとすれば、手取り額は10万円となってしまいます。健康保険の利用は被害者の手取り額を増やす結果となるのです。
 
 病院に対して健康保険証を呈示して強く健保診療を申し入れてください。それを受け容れないような病院であれば、転院も考慮すべきでしょう。
 
※過失相殺とは・・・事故が起きた原因について両方に過失がある場合、加害者と被害者が損害を公平に分担するため、加害者の損害賠償額から被害者の過失相当割合を減額すること

最新の重要判例

北河隆之『交通事故損害賠償法』(弘文堂・2011年)は,2023年1月に[第3版]が刊行されていますが,同書[第3版]刊行後の交通事故重要判例や、その他の分野の重要判例を,このコーナーで紹介していく予定です。 → 最新の重要判例紹介はこちら

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