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北 河 弁 護 士 コ ラ ム

20.キャラクターは「著作権」で保護されるのか(続報)

 前回(コラム19)で、故・笹沢佐保氏の股旅小説(一話完結形式の連載小説)の主人公・木枯し紋次郎のキャラクターが著作権法による保護の対象となる「著作物」に該当するのかという問題を取り扱った判決(東京地裁令和5年12月7日判決)をご紹介しました。
 
 同判決は、「著作権法上の著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(同法2条1項1号)とされており、一定の名称、容貌、役割等の特徴を有する登場人物が反復して描かれている一話完結形式の連載小説においては、当該登場人物が描かれた各回の文章表現それぞれが著作物に当たり、上記登場人物のいわゆるキャラクターといわれるものは、小説の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということができない。そうすると、一話完結形式の連載小説に登場するキャラクターは、著作権法2条1項1号にいう著作物ということはできない。」として、原告の請求を認めませんでした(請求棄却)。

 ところが、控訴審である知的財産高等裁判所(知的財産事件だけを専門に取り扱う控訴審裁判所)は、令和7年9月24日、第一審判決を覆して、著作権侵害を認め、被告に対し約5600万円の損害賠償を命じました。最近、控訴審判決自体(別紙も含めて68頁もある長い判決文です)を読むことができましたので、控訴審がどのような理由で著作権侵害を認めたのかを簡単にご紹介してみます。
 
 控訴審では、第一審と視点を変えて、原作者の故・笹沢佐保氏が映像化を許諾した中村敦夫氏主演のテレビドラマ「木枯し紋次郎」の中の紋次郎の画像に注目しました。原作小説を映像化した場合、これを「二次的著作物」と称します。
二次的著作物とは元の著作物(原著作物といいます。本件では原作小説のことです。)に翻訳、編曲、脚色、映画化、翻案などの新たな創作性をくわえて作られた著作物のことです。「翻案」とは、「既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為」のことです(最高裁平成13年6月28日判決)。二次的著作物については、二次的著作物の創作者のほかに原著作物の著作者も著作権を有します。
 
 控訴審判決は、テレビドラマの画像(二次的著作物)の紋次郎は、大きな三度笠をかぶり、長めの縦縞模様の道中合羽を身に着け、細長い楊枝をくわえ、長脇差を携えているという特徴を全て兼ね備えている者として表現されており、「紋次郎いか」に描かれている図柄(人物)は、テレビ作品の紋次郎の「翻案」であると認められる。従って、原著作物の著作者が有する著作権(翻案権)を侵害しているとしたのです。
 
 被告側は最高裁に上告するようですが、そうすべきでしょう。今回の知財高裁の判断は波及するところが大きいと思われますから。
 

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