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親子関係の法律の見直しの第2は「嫡出否認制度」の見直しです。
前回解説したとおり、「妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。」とされています(嫡出推定)。この推定を覆す制度が「嫡出否認制度」です。嫡出否認は、夫が子または親権者である母に対する嫡出否認の訴えを提起することによって行われます。
これまで、嫡出否認の訴えを提起できる者(否認権者)は夫に限られていましたが、改正によって否認権者が子及び母に拡大されました。また、再婚後の夫の子と推定される子については(そのようなケースがあり得ることは前回ご説明しました。)、母の前夫にも否認権が認められました。
さらに、このような嫡出否認の訴えを提起できる期間も伸長されました。
これまでは、着手否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年とされていたのですが、改正によって、
① 父が提起する場合は、父が子の出生を知った時から3年
② 子・母が提起する場合は、子の出生の時から3年
③ 前夫が提起する場合は、前夫が子の出生を知った時から3年
とされました。ただし、子は、一定の要件をみたす場合には、例外的に21歳に達するまで認知無効の訴えを提起することができます。
なお、関連して、妻が夫の同意の下、第三者の提供精子を用いた生殖補助医療により懐胎・出産した子については、夫にくわえて、子及び妻も嫡出否認をすることができないものとされました。
見直しの第3は、「認知無効の訴え」の規律の見直しです。
「認知」とは、嫡出でない子(非嫡出子)について、その父が親子関係の存在を認めることです。これまで、子その他の利害関係人は、認知が真実に反することを理由に認知無効の訴えを提起することができるとされていました。利害関係を有する者は誰でも認知無効を主張することができて、無効を主張できる期間制限もありませんでした。
これでは非嫡出子の地位が著しく不安定であるため、認知無効の訴えの提訴権者が、子、認知をした者(父)及び母に限定されました。
さらに、出訴期間が所定の時期(認知者は認知の時から、子及び母は認知を知った時から)から原則として7年間とされました。ただし、子は、一定の要件をみたす場合には、例外的に21歳に達するまで認知無効の訴えを提起することができます。
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