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7.嫡出推定の見直しについて

 令和6年4月1日から親子関係の法律が大きく変わります。第1は嫡出推定の見直しです。

 これまでは「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」とのみ規定されていました。他方、「婚姻中に懐胎した子」かどうかについて、①婚姻成立の日から200日を経過した後に生まれた子、または②婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定すると規定されていました。嫡出推定の規定です。

 そうなると、母が離婚の日から300日以内に生まれた子は、(離婚前の)夫以外の男性との間の子であったとしても、嫡出推定規定により前夫の子として扱われることになります。母が、この期間に別の男性と再婚したとしても、前夫の子として扱われることになります。

 このような事態を避けるために母が出生届を出さず、そのため無国籍者となってしまう子が出てきました。法務省の報告では、無国籍者779名のうちその約73%に当たる568名が、その理由を嫡出推定規定により前夫の子として扱われることを避けるためと述べているそうです。

 そこで、改正により、「妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。」と改められました。これにより、離婚等の日から300日以内に生まれた子であっても、その間に母が再婚したときは、再婚後の夫の子として扱われることになります。もっとも、この間に母が再婚していないときは前夫の子と推定されます。

 以上の改正に伴い、女性の再婚禁止期間(待婚期間)の規定が廃止されました。

 これまでは、「女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚することができない。」と規定されていました。これは前夫の子との推定と再婚後の夫の子と推定が重複する事態を回避するためでした。

 しかし、以上の改正の結果、父性推定の重複という事態がなくなるため、女性の再婚禁止期間(待婚期間)を定める必要がなくなったからです。

 第2は嫡出否認制度の見直しですが、これは8でご説明することにいたします。

 
 

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